小魚のすり身から美味しいダシがたっぷり出て、魚の旨みを存分に味わえる「ととぼち汁」。氷見沖に水揚げされたばかりの新鮮な小魚をすり身にしてお湯に入れて茹で、味噌汁に仕上げた郷土料理です。
「ととぼち」というユニークな名前は、「とと」を使ったすり身が餅のような形をしていることから「とともち」、それがなまって「ととぼち」と呼ばれるようになったといわれています。水揚げされた小魚を骨ごと上手に活用するために考案された郷土料理なのです。町中にあるととぼち屋さんでは、毎朝大きなすり鉢状の機械でなめらかになるまで魚をすりつぶします。新鮮な魚でつくるからこそ、おいしいととぼちになるんですね。
「ととぼち」に使用される魚種は、その日の水揚げによって異なりますが、夏にはトビウオ、春にはイワシなどがよく登場します。四季折々の旬の味わいを堪能できるのも「ととぼち汁」の魅力といえるでしょう。また、使用される味噌は宿によって異なりますが、共通しているのは地元の味噌を使用していること。市内で味噌を扱っている店舗は、かつて網元だったところが多いため、魚に合う味噌が作られているそうです。旬の魚と氷見の味噌の美味しさが溶け合った「ととぼち汁」で体も心も温まってください。